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ぜリゼが離してくれない

last update Dernière mise à jour: 2025-07-31 21:02:25

「玲喜だけは誰かにあげるつもりも、今後手離す予定もない。他をあたれ」

 目を細めて告げたゼリゼは、背筋が凍りそうな程に冷めた表情をしていた。

「玲喜大丈夫か? 部屋に戻れそうか?」

「ん……」

 首を上下に振って肯定の意を紡ぐ。

 本当はまだ動きたくない程に吐き気がしていたが、この場に居たくなくて玲喜はゼリゼの首に腕を回して抱きつく。

 ゼリゼの腕の中で体温を感じていると心身共に落ち着いてきて、胃のムカつきも治ってきた。

「へえ……」

 低く落とされたマギルの声と、獲物を前にしたような獣みたいにギラついた視線が身に刺さる。

「玲喜。おれお前のこと諦めないからな」

「オレの全ては……ゼリゼにあげた。アンタにやる分は残ってねえよ。諦めてくれ」

「ゼリゼがいない時にでもそっちに遊びに行くわ。体の相性はおれとの方が良いかもしれないだろ。試そうぜ。あーあ、今日ももっと手こずると思ってたんだけどなぁ」

「無視かよっ! アンタにやる分ないっつったろ!」

 突っかかった玲喜を見て、閉じられていく扉の向こう側で爆笑しているのが玲喜の方まで聞こえてきた。

 急に歩みを止めたゼリゼが振り返る。

「やはり今日のはあの二人が仕組んだ事か……」

 ボソリと漏らした呟きと共に、暗雲が立ちこめた気がした。

「ゼリゼどうかしたのか? 忘れ物か?」

「ああ〝忘れ物〟だ。今ここで消し炭にするという重大な忘れ物が出来たとこだ」

「なんか忘れ物に対してのニュアンスが違ってる気がするんだけど気のせいか……?」

 ゼリゼの右手の掌に膨大な量の魔力が集まっていく。先程の魔法壁の色の事もあり、ゼリゼが主に扱う魔法が闇属性だというのを玲喜は今日初めて知った。

「気のせいじゃありませんね。間違いなく中身ごと部屋そのものが消し炭になるでしょう。まあ、あの二人が消えた所で何の問題もありません。寧ろ喜ぶ人が多いかもしれませんね。主に私とか」

 ——ラルだった!

 ラルの顔が喜色に染まる。止める気もさらさら無さそうだ。

 あの二人と出会ってまだ一時間も経たないくらいなのに、ラルやゼリゼがあの二人に今までどれだけの苦労をさせられてきたのかが、手に取るように分かってしまった。

「いや、でも駄目だ。問題も大有りだろ。待て待て待てゼリゼ! ダメだ。消しちゃダメだ。正気に戻れ。とりあえずその忘れ物の事を忘れよう!」

「大丈夫だ玲喜。安
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